
スポーツ栄養学と健康はどんな関わりがありますか?
健康ってすごく大事じゃないですか。個人の生活にとっても大事だし、それに自分や身の回りの人が病気になったらすごく困るし。最近なら国家の財政を考えても、毎年一兆円ずつぐらい医療費が上がって若い世代にしわ寄せがって話で、何とかしないといけないと思うんですよ。
ただやっぱり病気になってからだと遅いので、じゃあいつ食事のことを知るかっていうと、私たちぐらいの年齢になるとそういうことに興味が出てくるんですが、変えようと思ってもその食志向はもう変えられない。
そうすると小さい頃、まだ健康に関心がないぐらいから食べ物のことをちゃんと知っていないと駄目で、そのためには子供に食べ物への関心を持ってもらうために、スポーツ選手などを通じて「自分が強くなったのは、好き嫌いをせずにしっかり食べて牛乳を飲んだからだ」とか「野菜を食べたからだ」とか、そういう「栄養って大事だぞ」ということを言ってもらったら、子供たちって「そうか」って思うじゃないですか。
学校の給食の時間に栄養士の専門家の人が喋るのはもちろん大事だけど、そういう時にスポーツ選手とか地域で強い方が食べ物のことをちょっと言ってくれたりして、で子供が「じゃあ俺もっと速く走るためには何食べたらいい」とか「野球でもっと飛ばすためには」みたいなところから、BMIだとか栄養の成分だとか知ってくれて、塩分の摂りすぎ気を付けようとか色々思ってくれるといいなと。
意外とスポーツ栄養研究活動の着地点ってその辺じゃないかなと思っていまして。
一部の強い人ってシンボルとしてはもちろん大事だと思うんですけど、すごくお金がかかって問題になっているオリンピックのこととかでさらに強化していこうと思ったら、ただでさえ苦しい国家財政をどれだけ導入するかって、コンセンサスが得られない時代がすぐそこまで来ていると思うんですよね。
だけどスポーツ選手が社会に対して貢献できるのは“ピラミッドの一位じゃないとだめ”とかではなくて、そのピラミッドを構成している中間の辺りの人たちも子供たちにとっては絶対憧れなので、そういう形で子供たちにフィードバックしてくれるといいなと。
僕らが大学で直接選手のサポートをするのは時間的に厳しいこともあるけど、正しい情報を色んな形で提供してそういう人たちが子供たちに喋る時に、適切なことが言えるようにするとか、あるいは教育とか。
僕が直接喋らなくてもうちの学生は管理栄養士だから、毎年八十人ぐらい社会に出ていくわけですよ。そういう人たちが小学校で何かしたりとか、あるいは市役所で3歳児とか1.5歳児の検診の時に喋ってくれるとか。
そういう学生を送り出していると段々そういう風に社会がなっていくのかなあと思っています。食べ物だけでも駄目だし運動だけでも片手落ちだし、どっちもわかっている学生を出していけるように研究とか教育とかしていこうというのが基本的なスタンスです。

日ごろどういったことを研究されているのですか?
食べ物で、例えば小さい子は、油とか甘味とかタンパクみたいな栄養に必要なものを食べたがりますが、そうではないものの中に、好きなものとそうではないものがあったりして、なぜそういった必要ではない成分の物を好きになるのかということを調べています。
するとやっぱり昔食べたことがあるというのは大きな要素なんですよね。
要するに記憶に刻み込まれているものがどこかでふっと好きになるという。その組み合わせも面白くて、好きなもの・好きだけど必要ではないものの味や成分の組み合わせはやっぱり好きだし、嫌いなもの同士だとやっぱり嫌いみたいな、そういう足し算みたいにできるんだということが分かってきました。
まだあまり詳しくお話できないですが、栄養的に必要だから好きとかそういうことだけじゃない、数式っていうとちょっと大げさすぎますけど、足し算引き算ができる話だなってことが分かってきて、面白いなと思いますね。
それを活用して今後の目標などはありますか?
そうですね、一つは好き嫌いみたいなものがすごく大きなトピックだと思っていて、ある時期になったら食べられるかもしれないっていっても、それはそうはならないことも十分あるわけですよ。世の中には美味しいものがいっぱいありますので。
だけどその好きとか嫌いとかが記憶とどう結びついているかというのを読み解くことができたら、野菜嫌いの子供が大きくなったら確実に野菜を食べるようになるとか、もっと直接的な例だと、一般的な女性でも貧血になる人が滅茶苦茶多いんですよね。それで色んな栄養食品を見ると、レバーなんかは物凄く鉄分が多いのですが嫌いな人が多い。だけどどの要素が嫌いにさせているのか、それは実は無理にレバーを食べさせなくても普段他に食べているものの中にレバーと同じ要素をうまく入れることで自然とレバー嫌いをなくせるとか。
気づかない間にサブリミナル的な感じですることで「これって実は普段から食べ慣れているあれだから」と慣れてしまうようなことができると面白いなと思っています。
それでそれを若い頃からどんどん時間をかけてやって、年を取ったらどこかで好きになるのをもっと期間を短縮して、普段の食事の中で忍ばせておくことで、もっと若いうちに「実は食べれるじゃん」というようになると面白いなと。
好き嫌いの要素って、味の要素と食感、むにゅむにゅしてるとかねばねばしてるとか、そういったことも関係性はあるんですか?
僕が直接調べている実験モデルでは、食感は評価はしていないのですが、それは一般的にはおっしゃる通りで、食感の好き嫌いは物凄く大きい要素ですよね。食感は凄い大事ではあることは間違いが無いですけれど、動物モデル系で評価するのはやっぱり難しいんですよ。
そこは人の課題だとは思ってまして、色んなものの食感を変えて、評価していくっていうのはむしろこれからやっていかなきゃいけない課題でしょうね。凄い面白いところだと思います。

























































































